<< May 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

スポンサードリンク * - * * - * -

別冊關學文藝第五十二号


 太極拳の師、伊奈遊子さんから、別冊關學文藝(第52号)が届きました。
伊奈さんは、広告代理店在職中にクライアントから太極拳を勧められ、太極拳を極められた後、伊奈教室を始められ、鉱脈を掘り当てられたような充実した第2のキャリアを送られています。
そして、第2のキャリアの中には、執筆活動も含まれています。「伊奈文庫」からの採録も、もう12回目になります。今回採り上げているのは、「パルタイ」の倉橋由美子、関学の先輩で夭折した天才詩人の吉田駿介、北杜夫の「少年」、「松山市教育委員会編」の「伝記 正岡子規」です。とくに、「伝記 正岡子規」は参考になりました。
そして、昨年末開かれた伊奈遊子作「枯れ木に花を咲かせましょ」出版記念パーティでは、伊奈さんは没後36年の先輩詩人・吉田駿介さんの詩集「それからいくどもいくども昼と夜が」を朗読されたとか。これをみても、別冊關學文藝が若き日の文学への情熱をいかに長く持ち続けている歴史ある同人誌かがわかります。
 別冊關學文藝(第52号)には、名村峻氏の「叔父たちの戦争」が載っています。図書館に残された叔父の戦争体験記を取り寄せ、その頃の日々を思い出し、叔父たちの戦争を追体験する。そこには血の繋がった肉親、親類にしか感じえない、生々しさがあります。そして、私たちは、やがてその戦争の影さえ見失ってしまう。そう、著者は警告しているのかもしれません。
 ところで、先日、TVで「ALWAYS三丁目の夕日」の山崎貴監督が最先端のCGの映画監督だと知りました。セットの様子も映しましたが、そういうわけで、ほとんどセット=ブルーシート、つまり、山崎監督は何もないところに、戦時を描いたのですね。びっくりしました。
しかし、伝統工芸が失われていくにつれ、ものつくりにおける人間の手の大切さを思います。叔父さんたちが、何一つ機械も使わず、文字通り手作りで描いた戦争と、CGが描く戦争。人間の手と頭脳がつくる新たな未来に期待したいです。

叔父たちの戦争今年もあの夏が来る

pato * 小説 * 18:51 * comments(1) * trackbacks(0)

別冊關學文藝 第51号

JUGEMテーマ:日記・一般

太極拳の師、伊奈遊子さんから、別冊關學文藝(第51号)が届きました。
 別冊關學文藝は、關學文藝部OBを中心とした同人誌。1989年(平成1年)関西学院創立百周年に『關學文藝 100周年記念特別号』がOBにより発行され、これを契機として『別冊 關學文藝』が誕生したとか。現在ですでに51号を数えます。
小説、詩、エッセイ、ドキュメンタリーの他、伊奈遊子さんのブログ「文学逍遥 伊奈文庫」再録(抄)第11回が載っています。 尚、伊奈さんは先頃、ブログ「文学逍遥 伊奈文庫」再録(抄)の10回分を纏めて、「枯れ木に花を咲かせましょ」として、上梓されました。今回取りあげているのは、又吉直樹「火花」、小野十三郎詩集、三島由紀夫少年詩及び「近代能楽集」などです。特に又吉直樹「火花」が気に入られたようで、芥川賞を取る前に本屋で出会った時から13回もブログに取り上げておられます。そして、又吉直樹の「花火」を久々に登場した無頼派文学の小説と言っています。次作でどんな無頼の世界を描くのか、私も楽しみです。
 また、伊奈さんは25年前に、新神戸オリエンタルホテルで蜷川幸雄演出の三島由紀夫「近代能楽集」の中、「卒塔婆小町」と「邯鄲」を観劇されているとかで、学生時代から、広告代理店勤務時代、現在に至るまで、太極拳だけでなく、文学に対する情熱も持ち続けられたようですね。
 第51号には、名村峻氏の小説「ロング・ウェイ・ホーム」も掲載されています。高校時代の同級生の女性から「突然のことで申し訳ありません。ご連絡をいただきたいのですが・・」とだけ書かれたハガキ届くところから、物語は始まります。ハガキに呼び寄せられたかのように、突然帰省し、小京都と言われる裏日本のその市に今も住む同級生と会うことになった主人公。それは遠い昔の高校時代へ思い出の旅でもあったのです・・。百人一首かるた取りの世界が展開され、名村峻氏独特の上質な、抑制のきいた大人の色気の世界を感じました。
 また、その他にも「落ちても偶像」「我が人生に悔いはなし」「ささやかな放送ウラばなし」「武士に二言なし」「要望書」・・等々、面白く読ませていただきました。

冬晴れを走り出したる猿の年


別冊 關學文藝」及び「文学逍遥 伊奈文庫」について詳しくは下記まで。

「別冊 關學文藝」http://kangakubungei1.blogspot.jp/
「文学逍遥 伊奈文庫」http://hikosan2.blog.eonet.jp/




 
pato * 小説 * 14:40 * comments(2) * trackbacks(0)

漁船の絵


若い頃はずいぶんと小説を読んだつもりですが、読んだという記憶はあっても、どんな話だったか、ほとんど忘れてしまっています。でも、アラン・シリトーの「漁船の絵」はなぜか、よく憶えています。それはたぶん、小説を読んだだけでなく、ラジオで朗読(宇野重吉と奈良岡朋子)を聞いていて、それがとても印象に残っていたからだと思います。
アラン・シリトーは「土曜の夜と日曜の朝」や「長距離走者の孤独」が有名で、「漁船の絵」は、大作でもなく、とくに何が起こるでもない地味な短編ですが、数十年ぶりになぜかふと読みたくなって文庫本を買いました。
第二次大戦の足音が聞こえてくる時代のイギリスが舞台。小説の中に出てくるのは、郵便配達をしながら、本を読むだけが趣味のおよそ退屈な男と、その男と結婚した少し奔放な女の二人だけ・・。退屈な暮しにあきたらず、ぷぃと家出した妻は、10年ぶりにふいと顔を見せ、ずっと壁にかけてあった結婚祝いにもらった漁船の絵をほしいと言います。しかし、絵はほどなく、質屋のウィンドウに並び、郵便配達の途中に発見した男が買い戻すと、妻はまた訪ねて来てその度にお金を少し借り、何食わぬ顔で絵をねだり、そして質屋に売り飛ばす。戦時の燈火管制の中、そんなことを6年間も繰り返していたある日、妻は車に轢かれ、あっけなく亡くなってしまいます。
その時、男の心にぽっかりと穴が開き、はじめてあることに気付くんですね・・。

なにか、自分に似ていていやになってしまう、でも、どこにでもありそうな話だと思います。幸い、私の場合、小説の主人公とちがって、子どももいて妻も辛抱強いので、これまでなんとかなっています・・・。

朱を奪う柿の実ひとつわれに落つ
pato * 小説 * 04:37 * comments(0) * -
このページの先頭へ